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2012年1月24日デザイン住宅の系譜 その7

「簡素にして品格あり」

 

 今回は吉村順三という巨匠を取り上げます。

 

 安藤忠雄しかりル・コルビュジュ、フランクロイド・ライト

 

そして吉村順三、すべての建築家は大富豪の豪邸ももちろん建てていますが※

 

 ※豪邸は後の公共設計デザインに引き継がれています。

 

小さな住宅を建ててもすべてのプロポーションが整えられていて、小さいからこそ

 

ディテールが研ぎ澄まされています。

 

この「軽井沢の山荘」はローコスト住宅を目指す方にとってとても参考になります。

 

私とこの住宅との出会いは、大学の夏休みの宿題でした。

 

平面図・断面図・模型が課題でした。

 

当初はいやいや図面をロットリングで書いていたのですが、模型を仕上げるうちに

 

プロポーションの良さと複雑な断面に感動しました。

 

この建物は建築面積51.8㎡(15・6坪)延床面積87.7㎡(26.5坪)です。

 

まして1階はほとんど機械室ですから、本当に小さな住宅ですが、屋根裏階もありますし、

 

屋上庭園もあり、1階ピロティは暖炉のあるテラスデッキもあります。

 

この住宅は2階に居間がありますが、薪ストーブのある吹抜けはロフトにつながり、

 

景色を切り取った戸袋にすべて仕舞える木製サッシも含め、抽象的自然の一部なる空間を

 

住吉の長屋(安藤忠雄)同様、創り出しています。

 

この建物は湿気の多い(苔だらけの軽井沢)土地に対しての特殊解で造ったのですが

 

密集地の都市住宅にも応用できる建物です。

 

なお、吉村順三氏はロックフェラー財団の住宅も造っているのですが、逸話として

 

この別荘のすぐ近くにあるお金持ちが日本人建築家は「大したやつはいない」と、

 

アメリカの建築家がドイツのノインシュタインバイン城みたいな豪邸を造ったそうですが、

 

スケール感が全くなく、駄作でした。

 

 

ローコスト住宅を造る場合、華美にならず、プロポーションさえ整えられれば、

 

内部の快適さを求める事に予算を使うのが一番です。

 

神奈川県は特に全国からみてハウスメーカー率多いですが、ぜひ建築家、工務店の

 

方に頑張っていただきたいと思います。

 

時々、パワービルダーがお客様に言われたのが、スケール感がないゴテゴテした

 

白いお金持ち風に家を建てる事がありますが、あれは品格なくて嫌いです。

 

まだ、ハウスメーカーの造る割肌石もどきのだんご虫っぽい住宅の方が良いと思います。

 

話がそれましたが住宅作家の建築家のバイブルは安藤忠雄と吉村順三・東孝光etc..などです。

 

この上にもっと大きな世界の三大巨匠 ル・コルビュジェ、フランクロイド・ライト、ミース・

 

ファンデローエがいるのですが、それはまた後の話で。

 

(ちなみに三井ハウスさんのデザインはフランクロイドライトの真似です。特に吉永さんのCM…)

 

あと、この住宅のローコストの特色としてモデュールを910ではなくて660で設計して

 

います。あと、仕上げを統一し、和室でさえ唐松の壁です。また、吹抜けがある為2階の

 

階高は2100です。通常2800ですからかなり低いです。しかし、たまり場としての

 

居間はとても広く、ここち良い空間です。

 

 ちなもに旧軽井沢の別荘地に出掛けるとハウスメーカーの住宅は見かけません。

 

ぜひ素敵なローコストデザイン住宅を目指しましょう。