私がヨーロッパにリュック背負い、ひとりで建築巡る旅をしてた
若かりし時、出会った作品です。
大学の研究室で1920年代の住宅を研究論文で書いた影響で
ル・コルビュジェの作品をユーレイルパス(ヨーロッパを電車乗り放題
というものでJRの青春18切符などと似たものです)を使って20ヶ国
を貧乏旅行していました。
今も写真撮影は苦手ですがその頃の写真は全く使い物にならないのでネットや
本を参考にアップしてみました。(住宅巡礼 中村好文著 新潮社より転載)
とにかくこの家の素晴らしいのは愛情あふれた建築でまだ、コルビュジェ
初期の作品ですが近代建築5原則が盛り込まれ、尚且つ細かいディティール
がすべて思いのこもった造作になっています。
回遊できる平面による建築的散策(アーキテクチャープロムナード)にきめ
細かな愛情があふれた作品です。
ル・コルビュジェは「小さな家」というこの家を題材にした本も出しています。
回遊できる平面は「小さな家」に対する一つの解決方法です。
⇑ ゲストルームより居間、食堂を見る。人数によって大きさの変えられる
折り畳み式テーブルも、その食卓上の壁から持ち出された照明器具も
新築当時、つまり70数年前のままである
⇑ 道路側からの建物の印象をひとことで言えば【横長】ということになる
だろう。道路を隔てる横長の低い塀、口紅の箱を倒したような横長の
建物、白い外壁に鋭利な刃物のイメージが重なる。
⇑ 建物の東立面。左側に湖、右側に玄関に向かう通路がある。通路は塀に
よって交通量の多い道路と隔てられている。
⇑ 屋上庭園からの庭の見下ろし。新築当時の写真では腕の太さぐらいに
見えた桐の木が恵まれた日照と湖の水分をたっぷり吸いこんで驚く
ほどの大木に成長している。
⇑ 土が盛られた草花の自生する屋上庭園はル・コルビュジェが提唱した
「近代建築の五原則」のうちのひとつである。手前の窓はゲストル
ームに朝日をもたらす高窓
⇑ 母親の寝室コーナー。横長窓は居間からそのまま水平に連続し、寝室を
通り過ぎバスタブの置かれた浴室まで延びていく。
⇑ ル・コルビュジェの筆によるスケッチ。この住宅の最大の特徴が回遊性
のある「廻れるプラン」であることをスケッチが物語っている
(「小さな家」集分社より転載)